#anhedonia

コミュ障だけど伝えたいことがあるの

芥川龍之介という視点で『嘘を愛する女』観てきた

 

 

 

 

中江和仁監督『嘘を愛する女
観てきました。

usoai.jp

ネタバレを含むかもなので以下ご注意を。
長めなので、面倒な方は最後のほうだけでも読んでくれると嬉しいです。

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長澤まさみ高橋一生の共演で話題となったこの作品、普通に高橋一生のどことなく儚げな影がある感じの予告がかっこよすぎて気になってたので観てきた。


ひとことで言うと
食品メーカーでバリキャリの長澤まさみが、研究医高橋一生を囲ってる話。


いいなあああああ
1ヶ月バイト並みの給料しか稼いでない研究医(イケメン)に先行投資してるっていう食品メーカーで上り詰めた企業リリースとかまでやってるエリート美人(毎日飲み歩いてる)

私もこうなりたいゾ!!!!!

 

 

さて、同棲5年目の彼氏の名前も免許書も職業もすべて嘘だった話。
その中で、彼とは一体何者なのか、探す旅に出るというもの。

 

 

なんかミステリーっぽいものかと思っていたけど、全然だった!
「嘘」っていうワードが、「面白そうな感じ」を演出しすぎてる気がする。
予告編が「面白そうな感じ」を出しすぎてて。


「嘘を愛する女」予告

 

この予告は、期待しちゃうよね。


結果としてなんか人間ドラマ?ラブストーリー??
やっぱり実話に基づく話だとこんな感じになってしまうのかなあ、、

 

 

まず、長澤まさみ演じる川原由加利は、ひたすらうざい。プライドが高くて、ヒステリックすぎて、自信満々すぎて。「働く女」ってこんな感じ? 自分のことしか考えてない。観てるこっちまでいちいちイライラしちゃう。仕事はそつなくこなし、かつ恋愛も彼氏と同棲、「完璧な女性像」っていうのを見事に体現していたのでは。もちろん性格に難ありだが、だからこそ築き上げた地位だと言うのも納得ができる。

長澤まさみってこんな顔してたっけ〜って感じちゃった。それくらい演技での傲慢な女感がすごい。

そんな人が、仕事を投げ打ってまで、彼の真相を探す旅にでるというのは、由加利にとってどれだけ大切なことかと言うことが、よく描写されていたと思う。

 

 

高橋一生演じる小出桔平は、もういかにもやさお。あの雰囲気が、何かあるんだろうなあって思わせる。まあ、思わせすぎちゃって期待させすぎちゃった感はすごいけど。

家族をある意味見殺しにしてしまった過去があるので、それを隠しているという点に後ろめたさっていうのはやっぱりあると思うんだけど、なんかめっちゃ都合いいなって思ってしまった。まあ5年も同棲してるってことはまあ、好き同士前提だけど。2人が惹かれ合う描写とかあったらよかったんじゃね?わからんが

 

 

吉田鋼太郎演じる海原匠は、もうほんと、無愛想で不器用なおじさんって感じ。粋な感じが出ててほんとに素敵だったけど。由加利と一緒に小出の過去を追う探偵な訳だが、時に笑いあったり、時に喧嘩したり、というのが良かった。ずっと自分のことしか考えていない由加利を、なんだかんだ大きな器で支えてた、良いおじさん。

家族ときちんと向き合えてない過去があるっていうのがまたね、ぽいよね。

 

 

川栄李奈の心葉ちゃん可愛すぎたけど、小出との出会いが、出会い系サイトだったって言う点が急に闇すぎる(笑)
「先生(小出)、時々空っぽになりたくなるんですって」
みたいなことを言ってたのは本当に、やーば(笑)って思った。なんでこんな設定作ったんだろうっていうね。

この映画の中での心葉の立ち位置はなんだったんでしょう、うーん。話の流れとしてとりあえず一番最初の糸口と言うべきか。いちおう、最初、高橋一生のストーカー的な感じで川栄ちゃんが登場するので、そこかなあ。出会い系設定必要だったのかなあ。わからん。

ロリータファッションで華を添えているかなあというくらい。ちょー似合ってる可愛すぎ。ついでに名演技すぎ。なんかゆるふわストーカー役ハマりすぎてたよ。


ついでに、木村くんっていう海原の助手みたいな役がDAIGOなのも結構謎でした。なんだったんやあ。ストーリーになんの影響も与えてないゾ、、笑

 

 

とは言え、キャスティングは素晴らしかったと思う。皆様名演技でした。

 

 

 

ストーリーはまあ全体として綺麗だったけど、少し言及するとすれば。

駅で体調を崩した由加利を助けたところから急に同棲はないだろwwwとか、出会い系サイトで出会った人がバイトしてる喫茶店に行かないだろwwwとか、新聞にまで載るような事件だったのに小出が見つかってないわけないだろwwwとか、本当に旅しなきゃわからない真相だったのかよwwwとかまあツッコミどころはあるよ!笑

 

 


一番印象的だったのは、一通り真相がわかったところで、小出の病室に帰ってきた由加利が、泣きながら「小出と一緒にやりたいこと」を語るんですけど。

闇が深い(笑)

子ども作って、
1人目は女の子で、バレエ習わせて、
2人目は男の子で、モテそうだからピアノ習わせて、
お弁当をもって公園におでかけして。

みたいなやつ。痛い。なんかもっといろいろやばって思ったのに忘れちゃった。温泉旅行とかあった気がする。

とにかく、由加利の中で、「完璧な女性像」の延長としての「完璧な家族像」みたいなのがあって、それがやべえなって、思いました。こんなバリキャリは、幸せになれなそうなので、頑張って幸せになってほしいですね。


前言撤回。こんな女にはなりたくねえ。旦那の金でヨガ通いてえ。

 

 

 

 

 

最後それっぽい話!


映画の中で、小出を芥川龍之介と重ねる描写が多い。

心葉ちゃんは小出のことを「先生って芥川龍之介みたいでかっこいいんです♡」みたいなこと言ってたし、小出が何者かみたいなときに「そりゃ太宰か芥川かなんか」みたいなこと海原も言ってたし。まあ作家設定なのもまたその1つだと思うんですけど。

さて、なぜ芥川龍之介なのか。

 


「私は不幸にも知っている。時には嘘によるほか語られぬ真実もあることを」

 


これ、芥川龍之介の名言。ここに集約されていると思う。


自分の全てを偽ってまで、愛する人のそばに居たかった、小出。愛しているという真実を、自分を嘘で隠すことで、一緒にいるという形で、伝えたかったのだと。

んーなんかうまく言えてないな?


こうなってくると、何が嘘で何が真実なのかは、わからないところがあるね。


たとえば、サンタクロースは、そんなものは存在しない、嘘の存在だけど、プレゼントをくれて子供の夢を叶える存在とかいう、概念的には、存在してるし、それが真実であるような気もするよね。嘘でしか語られてないけど。

んーあってる?
あってねえかなあ、むずかしいな。
もう少し考察の余地ありですね。考えたらまた書こう。

 

芥川龍之介がどういう状況でこの名言を言ったか、がわからないので、それがわかったらなんか見えそうな気がする。調べます。

 

 


これに加えて、女性に翻弄され愛する人への想いを作品として残した芥川龍之介と同じように、小説という形で、その想いを綴っていたというわけ。めでたしめでたし。

 

 

 


夜9時くらいに家のソファでくつろいで観る感じの内容だったなあと。考察の余地アリだけどね。結局、高橋一生はかっこいいわ。
はっぴーえんどばんざい!